オリンパスOM-Dインタビュー記事(デジカメWatch)
オリンパスOM-D E-M5の開発者が熱く語るインタビュー記事
今回は、OM-D E-M5のコンセプトや技術などについて話を伺った
◆企画意図とターゲットユーザー
- 2つのユーザー
- ブログやSNS、いつでもカメラを持ち歩く、良い写真を簡単に撮る→「OLYMPUS PEN」
- カメラシステムや防塵防滴を重視、厳しい環境で本格的な写真を撮りたい人→「OM-D」
- 撮影者の意図を確認する意味ではEVFにメリット
- 大口径レンズや望遠レンズはPENのスタイルでは限界
- ミラーがあると多くの機能はこの大きさには収まらない
- OM-D E-M5の構想はマイクロフォーサーズの規格を決めたときから
- PENと並行して開発
◆イメージセンサー
- ファインディテール処理と1,600万画素級のセンサーを組み合わせれば、2,000万画素クラスの解像力が出せる
- 1,230万画素のセンサーに対してS/N比、ダイナミックレンジもハイライト、シャドウともに改善
- 絵作りはPENから極力踏襲
- ノイズは画質を見ると2段ほど良くなっている
- 実用域としてISO1600が使えるか否かということは非常に重要
- ハイライト側で1/3~1/2段程度向上
- シャドウ側は1/2段程度向上
- トータルで1段以上は広がった
- 画像処理における暗部のノイズ処理能力が向上
- ローパスフィルターの光学的強度E-P3と同じ方針で設計
- 弊害をうまくクリアできれば完全なローパスレスの可能性は高い
- センサーのメーカーは非公開、地球上のどこかのメーカー
◆5軸手ブレ補正
- 5軸手ブレ補正を想定し撮像素子による手ブレ補正方式を採用していた
- 小さくした上で、いかに不良を出さず精密に組み立てるかの部分に腐心
- オリンパスのレンズ交換式デジタルカメラの中では最も高い補正効果
- 2軸では長秒時やマクロ撮影は補正しきれない
- 従来の手ブレ補正機構はステッピングモーターの発熱で長時間駆動できなかったが今回は熱を持たない機構になった
- モーターの音が発生しないので動画撮影時に適したシステム
- 動画での手ブレ補正は3軸で、ヨーイング、ピッチング、ローリング
- これまで動画は電子式手ブレ補正だったので品位が向上
- 静止画に比べて補正の幅を確保する必要があるので少し画角は変わる
◆ハイライト&シャドーコントロール
- 「OM-4」の光を操る思想を引き継いでいる
- スポット測光を行なっているわけではない
- 細かいトーンカーブを変更は次の機種などで対応するかどうか検討する
◆AF
- 最大4.2コマ/秒で被写体に追従
- E-P3の世界最速「FAST AF」でも動体追尾ではせいぜい2コマ/秒くらいしか出ていない
- 運動会などでは、ぜひコンティニュアスAFを試してもらいたい
- センサーからの読み出しが速くなっていることが一番大きい、E-P3に比べて倍の240fps
- シャッターの性能もE-P3からアップ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZとの組み合わせで位相差AFのデジタル一眼レフカメラも含め世界最速を更新
- レンズの駆動速度も向上
- レンズ内のアクチュエーターが強力に
- ボディとレンズの間の通信も同期を高速化
- コンティニュアスAFもミラーレス機ではトップレベルの実力
- 現在最速はM.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZとMSC対応レンズ
- シャッターボタンを押してからAFが起動するまでの時間も短縮
◆EVF
- EVFでは3つの表示スタイルを選択、表示もOMとしてこだわった部分
- 「OMスタイル1」でOM-4の表示を再現
- 「OMスタイル2」は「E-5」を踏襲
- 「高倍率スタイル」はファインダー倍率を1.15倍に高めることができる
- 表示部分のフォントも当時のOMを参考にして新たに作り直している
- 高速表示モードは、センサーからの出力フレームレートが2倍、画像処理も2倍速、表示タイムラグが半分になる
- フレーム毎のデータ量を減らしておりモアレが多く見える場合がある
◆タッチ式のチルト式有機ELパネル
- 今後有機ELパネルを使っていくという決定は特にない
- 有機ELパネルはバックライトのためのスペースが不要、パネルの厚さが減った分、薄型化に貢献
- 有機ELパネルは液晶パネルに比べてコスト面では高いデバイス
◆アートフィルター
- 「リーニュクレール」はユーザー要望では無くオリンパスから提案する世界観の拡充
- 「クロスプロセスII」「ドラマチックトーンII」はユーザーフィードバックから具現化
- 「ドラマチックトーンII」は従来のドラマチックトーンを単純にモノクロ化したものだが最適化を施している
- ユーザーには非常に好評、続けていき、育てていくというシナリオ
- 世界観を広げると解釈したフィルターはバリエーションを広げていく
- 本当にいろいろなご意見が数多く寄せられる
- 採用されていないフィルターは何百種類もある
- 写真を撮ったときの完成度の高さが重要。他社のように数で勝負することはしない
- 画像処理エンジン能力の向上で新しいフィルターも可能
- ライブバルブ/ライブタイム機能は若手の開発者が提案して自ら作り上げた、開発者魂のようなもの
◆動画機能の進化点
- 動体歪み(ローリング歪み)の量が大幅に軽減
- センサーの読み出し速度が2倍、メカによる手ブレ補正が可能にるので2倍、3倍というレベル以上に改善
- 動画時のジャギーの発生も改善
◆デザイン
- OMスタイルが決定するまで紆余曲折、全く違うデザインも考えた
- OMという名前を付けるからには相当の覚悟と技術的な進化を盛り込む必要
- 特に特定の機種をモデルにしたわけではない、単にまねをするわけではない
- Mが持っていた部分的な要素は踏襲、現代版に置き換えている
- 「銀塩OMの思想を引き継いだ“現代のOM”」
- 「OMの復刻ではなく復活」
- OMファンの方はOM-1/2派とOM-3/4派の方に分かれる
- 「OMってものはこうなんだ!」と言いに来る社員がたくさんいた
- 大事にしたことは3つ
- 小型軽量のボディ
- PERFECT CONTROL OF LIGHTS
- 多彩なシステム
- 理想型として光軸のセンターにファインダーが来るということ
- ペンタプリズムの形は必然性から来ている、5軸手ブレ補正のジャイロセンサーがペンタ部の前の部分に入っている
- OM-1の尖ったペンタ部にしなかったのも機能美、形状状として尖らせることは意味がない
- 内蔵物の外形を直線で繋いでいく、線が面になり、形になる、
- 「デルタカット」と呼ばれるデザインのモチーフも踏襲
- 銀塩のOMには独自の比率があったがデジタルの新しい比率をを作っている
- グリップスペースは銀塩OMと同じ幅
- こだわったのは現代の使い方への最適化“微に入り細に入り”の部分
- ボディカラーに役割を持たせた
- シルバーでツートンのカラーは、よりクラシカル
- ブラックは、レトロではないということをしっかりと表現、スポーツ感
- 国内では若干ブラックが多い、予想よりもシルバーが健闘している
- PENに比べても、やはり男性が多い
- 女性にも訴求もしていくつもり
- パワーバッテリーホルダー「HLD-6」の上グリップの単品販売は予定無い、検討はしていきたい
◆ボディ
- 「E-5」と同等の防塵防滴設計、防塵防滴の評価もE-5と同じ項目で実施
- マグネシウム合金、防塵防滴はシーリングのクッション材をつぶしながら構成する強いものが必要
- ボディの生産はこれまで通り中国
■ OM-Dシリーズの今後の展開
- “カメラの王道”を目指す
- E-M5を単発として終わらせるつもりはない
- PENとはまた別の進化を考えている
- 世界観を楽しんで欲しい
- OMのテイストでしっかり作っていくことが一番重要
- ユーザーの声も聞きながらより完成度を上げていく
- ミラーレスではデバイスの進化を直にカメラに反映できる利点がある
- まだまだデジタルカメラとして進化できることがある
- 上位モデルや下位モデルといったことも考える
- OM-Dシリーズのプロ機を出すのは慎重にやっていきたい
- 日本、台湾、韓国などアジア地域がミラーレスカメラの市場をリード
- アメリカやヨーロッパが立ち上がりつつある
- 従来の一眼レフカメラとスタイル的にさほど変わらないことが受け入れてもらえる要素になるかも
- シェアは引き上げたいが、取り立てて狙ったものではない
- オリンパスがミラーレス市場を活性化
- ミラーレスのカテゴリーでのシェア争いは激化
- 先行しているのでずっと1位で居続けることを目標
開発者の方は、E-M5の先進的で多彩な機能と、その完成度、そしてデザインに相当の自身を持たれているようですね。
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