ニコン D750のバンド状フレアはAFユニット部光学系の反射が原因?(imaging-resource)
この数週の間、幾つかのウェブサイトでNikon D750で逆光時に撮影した写真のフレア部分にバンド状の影が見れる現象が報告されているようですが、imaging-resourceがその検証と分析を行った記事をアップしました。
There have been numerous reports on the web for several weeks now about odd-looking bands or shadows in the flare of backlit photos shot with the Nikon D750.
Via : Nikon D750 flare problems? Here’s why and what to do about them. (It’s not your lens.)
- 最初に気づいたのは、ウェディングフォトグラファーHugo Hernandez氏
- 撮影効果の為にフレアショットを利用した際に写真の上部がバンド状に暗くなっている現象を発見した。
- この現象はレンズ側のフレアによるものではなく、ボディ側の内部反射であることを予測
- この現象を避けることは難しいことも判った
- imaging-resourceも同様の現象が確実に発生することを確認した
- 黒い部屋で90ワットのフロアランプを4フィートの距離からカメラに向かって設置しフレーム外から逆光として照射し撮影したところ確実に再現出来た
- 異なるレンズや、他のカメラボディでも同様の条件でテストを行った
- まず旧式のコーティングでフレアを再現しやすいシグマの70mm f/2.8で基準テストで行った
- その後、数本のレンズでも行ったが同様の現象が常に発生した。
- そこでニコンとキヤノンの他のフルサイズカメラで同様のテストを(SIGMA70mm、1/20、f/2.8、ISO100)行った
■Nikon D750
- とても強くバンド状のシャドーが発生
- はっきりとした3本のバンドが認識出来る
- 下方からのライトの場合この現象は明らかに少ない
■Canon EOS 6D
- (D750と)比較すると少ないが、同様の現象を確認出来る
- ライトを上部から当てた場合、フレーム上から2/3の場所にもほんの僅かに発生しているように見える
- 太陽光でも同様に発生する可能性はあるが、他のカメラよりほんとうに僅か
- 上方と下方の両方のライトで同様なほぼ同様の量が発生している
■Canon EOS-1D X
- D750よりは明確では無いが、フレーム上部にややはっきりとしたバンドとある種のエコーのような現象が見える
- 下方からの場合はフレアが更に出ているが、バンディング現象は見られない
■Canon EOS 5D Mark III
- 上部の際あたりのみに少しシャドー現象が加わっている
- 下方からの場合は、少し下部にフレアが多く、明確なバンドが見えるがこちらもフレームギリギリの場所
■Nikon D810
- 上部からのライトの場合(不意に1/3くらい露出が低くしてしまった)が驚くほどフレアが少ない
- 下方向からの場合はフレアが出る、フレーム端近くにわずかなバインディングが確認出来る
■Nikon D800E
- 上部からのライト場合、ほんの少しフレアが発生している
- 下部からの場合、フレーム端近くにわずかなバインディングが確認出来る
■Nikon D610
- 上部からのライトでわずかにフレアが発生し、ほんの少しバンド現象が出ている
- 下部からの場合はフレアが発生し、強いバンド現状が発生している、但しフレームの際に近い個所である
その後、D750を野外に持ち出し、強い日差しの中でシグマ70mmレンズを使って、同様の現象が強く発生する場合があることを確認されています。
こちらは25年の経験を持つプロフェッショナルフォトグラファーの方が、D750にシグマ24-70ズームレンズとニッコール24mmレンズでの動画撮影時で同様の現象を再現させているビデオ(上部がバナーで隠れて判り難い場合はYouzubeで直接表示してみてください)
LEDフラッシュライトを使い、各レンズを装着した際のテスト動画
Robert Martinez氏が、D750とD600にタムロン24-70とニッコール50mm f/1.8でダークバンド現象を比較した動画
YoutubeにTomasz Piotrowskiさんが、D750をミラーアップしたまま、マウント下部の奥のAFユニットの光学系を隠すように黒い居たを入れて比較するテストがアップされています。
これらのテストやYouTubeでの検証からimaging-resourceはこの問題を、マウントフランジとセンサー間の下部に配置されているAFユニットの光学系からの反射によるフレアが発生しているのでは無いかということを予測し、各機種の構造の特長を観察しています。
■Nikon D750
- ミラーボックスの後部にAF光学系の為の切り欠きを確認することが出来る
- 可動フラップがその最前面に配置されている(この付近リブ形状は反射を現象する為と思われる)
- フラップはミラーダウンしている際に複鏡からAFユニットに光りを導くように上方に可動するようになっている
- フランジ後部に十分なスペースが無い
- ミラーボックスの下部からレンズフランジの下部まで十分なスペースが無いこと見て取れる
■Canon EOS 6D
- AFシステムの切り欠きを確認出来るが、その光学系はミラーボックスの底面から深く埋没され目立たない
- キヤノンとニコンのカメラの構造的な大きな違いの、キヤノンはニコンFマウントより大きなフランジ径を持つことからこの部分により大きなスペースを持つ
■Nikon D610
- とても興味深いことを発見した、ミラーボックスの中にAFエレメントを確認することが出来ない!
- 金属製プレートががその上面を隠しており、光の侵入を遮っている
- ニコンは何故この構造をD750に採用しなかったのは定かでは無いが、おそらくレスポンスと連写速度を向上する為と推測する
■Nikon D810
- D810にもミラーダウンした時上昇動作する小さなバッフル構造を確認することが出来る、しかしAFエレメントはD750より明らかに切り欠きの中に深く埋没している
- D810の方が(AFユニットの為の)深い切り欠き部を持っており、これはフレアバンディングを少なくする為と思われる
ニコンD750は、シャッター動作に連動してAFユニットが可動する構造となっているということですがこちらはAFユニットが可動している様子が判る動画
■imaging-resourceの考察
- センサーの問題では無い
- ファインダーから確認出来ないのは、この現象はミラーアップしている時にのみ迷光がAFユニットに反射することで発生する現象だから
- 今回の検証で判ったのは、一眼レフ設計者がAFユニットからの反射を抑えるような異なるアプローチを実施していること
- 深い位置にAFユニットが配置されるカメラはこのような現象の発生は少ない
- このような問題が起こった要因を予測すると、フルサイズ一眼レフカメラを小型化したことによってミラーボックスの底面の部分も他の要素で使い果たしてしまっていることかもしれない
- ニコンD750では可動バッフルによってこの問題を対処しているように思えるがその対策は十分で無かったように思える
- D610もコンパクトな設計であるが、異なる方法(スライディングするスライディング遮光プレート)で対処していいる
- 何故D750もD610と同様のトリックを使うことが出来なかったかを予測すると、D750は6.5コマ/秒、D610は5.9コマ/秒であり、D750の連写速度を達成する為この構造を採用出来なかったことかもしれない
- また、D750はより小型化する為に、このスライディング構造を採用するのに十分なスペースが取れなかった可能性もある
- この現象はフルサイズカメラでより起こる可能性が高い、同じマウントの場合より小さいセンサーのカメラでは内側のスペースに相対的な余裕がある
- これまでフレアについてはレンズのせいにしてきた、しかし、今回の検証で同じシグマ70mmレンズとその他を使って検証したところ同様の傾向が現れた
- 多くのフレアはカメラボディ側の構造によって発生しているようでもある
- 驚いたことに、殆どのカメラは下側からの光線でより多くのフレアが発生する結果となった、フランジ内部の下面は反射防止の黒コーティングが施されているが上面はミラー構造がある為、コーティングされておらずフレアが発生しやすいと予測出来る
■まとめ
- バインディングフレア現象は野外の逆光でレンズの上方から光線が入ってくるという限られた条件で発生するもので、我々はそれほど大きな問題では無いと考えている
- 通常逆光の場合、フードを付けて撮影することでフレアを避けるようにすることが、撮影時のベストプラクティスである
- 他のフルサイズカメラでも大なり小なり同様の現象が発生していることから、この現象によってD750の購入を控える理由にはならない
- 今後D750のバンド状フレア現象を示すにはシリアルナンバーも同時に示して欲しい、ニコンがこの問題を確認する為に必要となるかもしれない
ちなみに、こちらデジタル一眼レフカメラのAFユニット光学系の例
ニコンD750で採用されているAFモジュール Multi-Cam 3500-FX II
これまで、D750ではバンド状のシャドーが発生すると観点でも書かれている場合があったようです。
しかしながらimaging-resourceの検証記事を読むと、この現象は特定の部位からの内部反射によるフレアの発生が主因であり、フレアが発生していない部分が境界となって逆に目立ってしまっているということでもあるようです。
また、カメラによって内部反射の度合いが異なること、また、一眼レフカメラは下方向からの逆光に弱いことも判ったことも、興味深いです。
そして、ニコンのD810、D610、D750ではAFユニットに何らかの反射対策の為の機構(と思われる)を搭載しているようです。
ここからは本当に個人的な予測ですが、もしかしたら、D600で発生したダスト問題は、遮光用の可動金属プレートによるものであれば、話は繋がっているようにも感じました。(間違っていたらすいません)
フルサイズカメラとして、ボディの大きさはD810>D610>D750となるようですが、小型化するに従い、我々が予測しなかったような課題があるのかもしれません。また、これまでもニコンのフランジ径がフルサイズデジタルで厳しい大きさということもあるのかもしれません。(こちらも間違っていたらすいません)
米国ニコンがこの問題を認識したようですので、今後の展開も注目です。
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