昨日 Panasonic LUMIXのショールーム「LUMIX GINZA TOKYO」で開催された「LUMIX S series 体感イベント」に参加させていただきました。
LUMIX GINZA TOKYO
4月20日にオープンしたばかりのショールームで一般向けとして初のイベント開催ということです。
外観はこんな感じに改装されています。
ちなみに場所は、Leica Store GINZAのはす向かいで、両社のアライアンス効果がここでも現れていますw。
ショールームに入りました。
S1とS1Rが展示されており、自由にハンズオンすることができます。
お話を聞かせて頂けたのはこちらの方々
Panasonic 岡本晃宏氏(画質設計担当) 美藤恭一氏(レンズ光学設計担当)
高橋先生がcp+に向けてS1で撮られた感想
一言で言えば良い写真が撮れた。
味付けでは無く、ストレートに良い写真である。
花の写真は、奇抜なライティング無し(窓の光かストロボ1発)でちゃんとそこに写っている感じ。
開発陣からピントからボケのグラデーションを撮るという宿題をもらった。
画像処理について Panasonic 岡本氏
シャープ処理
ピント面の精細感はしっかり出し、ボケの部分をしっかりキープすることが難しかった。
シャープネス処理はボケのレベルを見ながら調整を行なっている。これが立体感に繋がっている。
色の生命力・生命美について
本物よりもリアルに描写することを狙っている。
色は非常に重要な要素、記憶色の要素を入れた処理を行なっている。
鮮やかさは出すが、全体をただ鮮やかにすることでは無く、ググラデーションの美しさを追い込みながら設計している。
色乗り具合が立体感に繋がる。
ハイライトとシャドー部分の彩度を抜いている、これによって光の当たり具合とシャドーの引き締まりが際立って来る。
花の色を表現するとき忠実にハイライトからシャドーを同じ彩度で出すとぺったりとした仕上がりになる。
通常、立体感はレンズ側で作るイメージだが、色作りの部分でも立体感を出すようにしている。
シャドー側のトーンについてもPanasonicは絵作りの規定を設けている。
S1はフルサイズセンサーなので解像度が高くダイナミックレンジも広いので、一見暗く沈んでいるシャドー部の中にも情報が残っている。
シャドー部のグラデーションもフルサイズになった良さの1つである。
ハイレゾモード
1億画素以上ということで、花の写真は寄っても寄っても出て来る感じ。非常に高精細。(高橋先生)
0.5ピクセルシフトした8枚の写真を合成することで輝度の信号量も増えている、よってグラデーションまで綺麗に取得することが出来ている。(岡本氏)
Lモノクローム
まるで高級品のモノクロ写真を見ているようだ。これを作った人は本当のモノクロマニアが研究してカメラにぶち込んだwに違いないと感じた(高橋先生)
歴史的なモノクロ写真の分析、フィルムのデータを取り、フォトグラファーにインタビューなどでLモノクロームモードを作り込んで行った。(岡本氏)
Lモノクロームは上品な階調性が表現出来るモード、LモノクロームDは力強さを表現出来るモードとして開発した。
マイクロフォーサーズでもLモノクロームを搭載していたが、チューニングは変えたのか?(大貝氏)
フルサイズになりLモノクロームの表現力が更に豊かになった。(岡本氏)
センサーが持つダイナミックレンジや情報量が多いのでLモノクロームの階調性とのマッチングが良い。
マイクロフォーサーズよりもワンランク上の表現が出来るようになった。
ポートレートで撮ってもこのモードはめちゃくちゃ良い。何でもカッコ良く写る。(大貝氏)
レンズのお話
高橋先生は24-105が大好き
50mm F1.4も良いと思ったが、24-105を少しづつ使い始めるとズームレンズでありながらもボケが良くピントもバキバキ来る。
24-105はキットレンズなのに50mmに負けていないのではないかと感じるようになった。
S Pro レンズ設計4つのポイント(美藤氏)
- 究極の描写性能
- 印象的な立体表現 美しいボケ味
- AF、手ぶれ補正
- 動画の対応
フルサイズになるのでボケ味も楽しみになる、立体表現の味付けを行った。
社内で色の立体感とレンズの立体感の議論が起こり、お互いに権利を取り合うような事態になってしまった。W
50mm F1.4の感想(大貝氏)
普通のf1.4は開放で撮るとどうしても甘くなるので絞ることになる。
このレンズは開放から臆すること無く使えるレンズ。
フルサイズの開放で使うレンズがやっと出て来た。
f/1.4なんだけど実質的にはf/1.2くらいのボケ感が出る。
これまでマイクロフォーサーズを使っていた理由は開放から使えたのから。
それと同じ感覚で使えるフルサイズレンズということで是非買いたい。
でも28万円は高いw
現在SIGMA F1.4 Artと撮り比べをしている。
24-105レンズについて(美藤氏)
S ProとSラインを設けているが、24-105は単にキットレンズで開発をしたのでは無い。
50mm F1.4と同時開発した際にその技術を回し過ぎた感がある。
良い意味で裏切られるレンズに仕上がっている。
開放から使えるレンズになっている。
Leicaのレンズに対する考えも開放から使えることが思想になっており、それを引き継いでいる。
このレンズ、絞り機構が2つ入っている!!
これまで公表していない(分解すれば解るが)、昨日のイベントでも言っていないが、今日初めてこのことを話した。
ズームは中間域で使うことが多いが、ボケは真円であることが重要で、それをズーム全域で実現するために絞りを1つ追加した。
フォーカス超音波アシストを搭載した。
フォーカシングでエレメント移動するレールには摩擦が発生するが、これを超音波で打ち消すことで正確なAFを実現した。
レンズはボディを追い越す勢いで開発した
レンズは10年使うことになるので、将来を見越した取り組みを行った。
レンズをテストすると、ボディについてこないメーカもある。(大貝氏)
古い設計のレンズをつけるとどうしても追い付かないカメラがあった。
ボディは2から3年周期だが、レンズは8から10年周期なので、それを見越して開発している。(美藤氏)
今後は単焦点のレンズも出るのか?(大貝氏)
ロードマップを開示しており、単焦点もズームもある。但しSかS Proかは開示していないが、どちらもレンズを出して行きたいと考えている。(美藤氏)
S Proラインのレンズは4つの拘りを実現する。
Sラインは少しこだわらずに、遊び心や面白みを入れて行きたい。特徴のある面白いレンズにしたい。
高橋先生が欲しいレンズは?
前から後ろまでピントが来るレンズが欲しい。
それは難しいw(美藤氏)
回折限界を超えないといけないが、超音AFアシストで摩擦の壁を超えたように回折の壁も超えたいと考えている。
進歩の余地はまだまだある、回折、動画、チャレンジして行きたい。
まとめ
10年間の集大成として最高のものができたと考えているが、まだまだ進化して行きたい。
これで完成したと感じたが、他に何か進歩することがあるのでしょうか?w(高橋先生)
参加者の質問コーナー
50mmの口径食が無くなる絞り値は?
(美藤氏)申し訳無いがすぐに数値が出て来ない、f/2?f/4か、、、、あとで実際に確認しましょう・
Lマウントアライアンスの意味は?
LUMIX S PRO 50mm F1.4レンズにはサーティファイドLeicaがつけられている、しかも国産で一番高い50mmレンズである。
そしてLeicaも同じスペックのレンズを出している、その違いは何なのか?
(美藤氏)Lマウントアライアンスでは最低限の互換性は保証しているが、お互いがどのようなレンズを開発をしているのかは判らない。
それぞれの会社がそれぞれ考えている。アライアンスとして考えるとお互い補完するという声もあるが、お互いの会社の考えとなる。
Panasonicが50mmを最初に出したのは、一般的な画角の基準であり、まず基準となるレンズとして最初に仕上げたかったからだ。
(大貝氏)他社のレンズも参考にしたのか?
(美藤氏)ライカのレンズも、他社のレンズも全て見ながら開発した。
収差の出し方、口径食の出し方、各社のレンズで撮った目を並べて開発した。
全社のレンズで撮影した瞳の部分だけ並べていたので気持ち悪かったw
他社を全部見た上でこうだという方向だと決めて開発した。Panasonicは立体感に拘って開発している。
アサヒカメラの内部情報w(大貝氏)
ニューフェイス診断室を止めようかと考えている。
デジタル専用レンズになると、全社が頂きを目指して開発しているので個性が無くなっている。
テストしても差異が出てこない。やっていても面白くない。どれも同じ記事になってしまう。
レンズに個性が無くなっているのを危惧している。もっと個性を出して欲しい。
ただしこれは各社がお互いを真似をしようとしているわけでは無く、技術者達は単純に自分たちが決めたゴールに向かっているだけでもあるが。
色の立体感の画像処理はJPEGでしか効果は出ないのか?
(岡本氏)基本的にはYes
但し、Sylky社やAdobe社にはPanasonicからパラメーターを提供しているので、同じようなトーンは出せる筈、使ってみてほしい。
レンズのロードマップは公開されているが、ボディはどうなのか?
某社がRの直後にRPを出したようなことはあるのか?
(岡本氏)ここで情報を出すことはできないが、要望は持って帰りたい。
(大貝氏)アサヒカメラも、RPが出るのは意表を突かれた感じ。
ということで、参加された皆様は積極的な意見を出され少々時間をオーバーするくらいでした。
最後に高橋先生と大貝氏が欲しいカメラは何?ということで
次にモデルはの要望は?
(高橋先生)ダイナミックレンジがめちゃめちゃ広いカメラが欲しい。
(岡本氏)新機能としてHGLフォトを既に搭載している。但しHDR対応ディスプレイでしか表示出来ないので注意してほしい。
(高橋先生)調査不足でしたw、、、これ以上の開発ってあるんですか?
(岡本氏)ある意味のゴールは出せた。一つの完成形ではあるが、まだまだ進化させて行きたい。
ISO50を搭載して欲しい(大貝氏)
上が死んでも良いので出して欲しい。プロの方は全員そう思っている筈。
明るいレンズを出してもメカシャッターの1/8000sでは足りなくなってしまう。
電子シャッターは使いたく無い。
(岡本氏)これまでは高感度で進化したが、そういう声もあるので検討して行きたい。
(大貝氏)この反応は絶対でるw
ただ、進化を考えていたらカメラは買えない。
アサヒカメラのコンセプトはポチってから考えろということだw
ということで、高橋先生の素晴らしい写真と大貝氏の軽快なリードで、密度の高い座談会セッションになりました。
これまで、公開されたことに無かった、24-105には2つの絞り機構が搭載されているという新情報も公開して頂けたので、参加させて頂いけてとても価値のあるイベントだったと思います。
その後はハンズオンセッションとなりました。→ハンズオンレポート記事をアップしました
雑誌 – 2019/4/20″]