Adobe LightroomがアップデートされTextureという素晴らしいツールが追加されました。
そして、もう1つLightroom ClassicのみですがFlat Field というこれまでプラグインで別提供されていたツールが標準搭載されることになりました。
“2019年5月のアドビ フォト製品のリリースは、より良い写真を撮り、コラボレーションや編集をさらにレベルアップする、多くの重要なアップデートを含んでいます。最新のLightroomのアップデートはiOS App StoreやGoogle Playから提供が開始されており、Creative Cloudデスクトップアプリも本日から利用可能です。”
Via ‘ 2019年5月 Lightroom アップデートを提供開始 #Lightroom (https://blogs.adobe.com/japan/cc-photo-may-lightroom-releases/)
フラットフィールド補正は、カメラとレンズの組み合わせ毎に補正用の画像を撮影することで、周辺光量や色ズレを補正するツールのようですが、この技術を説明したドキュメントを読んて見ると面白いことが書かれていました。
“For many years now, Adobe has offered a little known plug-in for Lightroom Classic called Flat Field, created by Eric Chan, which is designed to correct for both luminance vignetting and color drift. Until now, this feature had not been part of the software as downloaded. But now it comes as a standard part of the program and for many photographers it will be an important tool.”
Via ‘ Adobe Flat Field For Lightroom Classic (https://www.reidreviews.com/examples/flatfieldnew.html)
概要
- Adobeは Eric Chan氏が開発した、フラットフィールドと呼ばれる輝度ケラレ及び色ずれの両方を補正するプラグインを提供していたが、今回のLightroomのアップデートでこれを標準機能として提供することになった。
- フラットフィールドによって通常のシェーディング補正に加えて、ケラレ、輝度ケラレ、色ずれ、色かぶり、色ドリフト等を補正することも可能になる。
輝度ケラレ、口径食について
- 輝度ケラレはレンズとセンサーの組み合わせたカメラ固有の光学経路内の相互作用で発生する。
- 例えば Leica SummicronをLeica M10で使用した場合と、SONY α7RIIIでアダプタを介して使用した場合とでは異なるケラレを示す。
- また輝度ケラレはレンズの口径と焦点距離によっても変わる。
- アドビはシェーディングという用語は、輝度ケラレと、色ケラレを組み合わせた現象として使っている。
- 口径食という用語は通常輝度口径食を指すが、同時に特定の色ケラレをを指すこともある。この用語には2つの意味があり混乱を招くこともある。
- カラーシフトとカラーキャストは通常フレーム全体で発生するものだが、画像中心からの色変化についてもカラーシフトという用語を用いる人もいいて、こちらも混乱する場合がある。
カラードリフトについて
- カラードリフトは私が2006年に使用し始めた用語で、フレーム中心から離れていくに従って色が徐々に変化することを意味する。
- 例えば画像中心がニュートラルグレーだが、カラードリフトによって隅に向かってシアンになるように見えることがある。
- この現象は必ずしも左右対象でも無い。
- SONY α7RIII にZeiss Loxa 25/2.4を使用すると、中心はグレーであったも周辺はシアンに色ドリフトして行くことが頻繁に起きる。
輝度ケラレ補正とフラットフィールド補正について
- 輝度ケラレについては幾つかのカメラではレンズ補正が自動実行されるようになっている。
- 例えばGFX50RとGF23mmF4.0で撮影されたRAFファイルを読み込み表示された!マークをクリックすると補正されている旨がダイアログで表示される。
- 他のカメラでは輝度ケラレ補正を含むレンズ補正を適用するかどうかを選択出来る。
- 例えばLeica M10-Dと35mmSummictonASPHで撮影したDNGファイルを開くとレンズ補正メニューにはオプションが選択出来るようになる。
- しかしLightroomのレンズ補正を行うと輝度ケラレの補正が過剰に処理されることが発生する。
- それに対しフラットフィールド補正はそれをほぼ完全に補正することが可能であり、また柔軟性も兼ね備えている。
- 一般的に周辺部の輝度補正はは、輝度ブースト処理を行うのでISOが高い場合ノイズが現れることもある。よって柔軟に適用出来るようになっているのが望ましい。
- 普通のカメラマンが輝度ケラレ補正のみ行うようであれば、フラットフィールドは必要ない。
- しかしフラットフィールドは色の補正処理も行われるのが最大の強みである。
- 他の類似のソフトと比較してもフラットフィールド補正は左右対象で無い場合でも可能であるという点が挙げられる。
カメラ側でのカラードリフト補正について
- 一般的なイメージセンサーは赤外線にも敏感に反応するためIRフィルタが搭載されている。
- カメラの機種やレンズの設計によってその強度が異なっている。
- 一般的にレンズが広角になるほどシアンの色ドリフトが現れる可能性が高い。
- 更にカラードリフトはコーナーごとに同じ結果にはならない。
- Leicaのカメラ ー カメラ内でフラットフィールド処理を行なっている。
- RAWファイルを書き込む前に、カラードリフトを補正しているメーカーの1つだ。
- レンズの自動認識が行われていればカラードリフトはかなり改善されているが、それでも完全では無い。
- フラットフィールド処理で輝度ケラレとカラードリフトの両方を補正しているため、どのコーナでもほぼニュートラルなトーンになるのはかなり印象的である。
- 他社のカメラ
- これまでテストした経験から、FUJIFUIM、RICOH/PENTAXは優れたカラードリフト処理を行っていることが判明している。
- Canonの最近のレンズはテストしていないが、5Dや1Dシリーズのカメラでは優れた色ズレ補正を行なっていた。
- NikonやSIGMAのレンズではケラレとカラードリフトが両方現れるレンズをテストしていないので不明である。
SONYはカラードリフト補正が行われていない
- 驚いたことに、α7とα9ボディでいくつかのSony FEレンズをテストしたが現時点でそれらが色補正を行なっていないように見える。
- SONYのカメラは多くの点で優れているが、将来のモデルではカラードリフト補正が提供されることを願っている。
- 現在のLightroomのレンズプロファイルではSONYや関連メーカーのレンズの色ずれ補正を提供出来ていない。
- 以上のことから、SONY α7やα9シリーズのカメラを使用している場合、フラットフィールド補正を使用して色ズレ補正を行うことを検討して頂きたい。
カラーキャリブレーションが上手くいかないカメラ
- 私は、自身のカメラでカラーキャリブレーションに満足出来ないことに不満を感じている多くの写真家に出会って来た。
- 自然な解決方法としてはカラープロファイル補正を試すことになるが、ここでトリックが発生することになる。
- カラードリフトが発生していると正確なカラープロファイルを取得する方法が無くなってしまうのだ。
- 色見本が中央に配置されている時とコーナーに配置されている時で異なる結果になる。
フラットフィールド補正を試す価値があるケース
- SONY α7又はα9シリーズのカメラ(またはカメラ内で自動処理しないモデル)
- マニュアルレンズをマウントアダプターで用いる場合
- Leica Mシリーズのカメラで16mmよりも広角のレンズを使う場合
- 色ズレ補正を搭載しているが、あなたのニーズに対して十分に補正出来ていないカメラ
まとめ
- フラットフィールド補正は非常に効果的なツールである。
- 大部分のカメラマンはフラットフィールド補正の頼る必要は無い。しかしそれが必要なカメラマンにとってはとても重要である。
- 慣れれば作業はとても簡単である。
- 効果的な補正を行いたければ、カメラとレンズの組み合わせ毎にキャリブレーション画像を準備する必要がある。
- コーナ非対称の補正を行う場合非常に効果的である。
重要なのは、カラーチェッカーなどでキャリブレーションしてもレンズの組み合わせによっては、それでもズレてしまうということ、更に、S社のカメラではそれが顕著に発生する可能性が高いということですね。。。。
また、S社のカメラでC社のレンズを付けることも実はビミョーなんですね、、、
逆に言えばw、S社のカメラはどうせフラットフィールドカラー補正をしていないのだから、MFレンズを装着しても、まぁそんなもんだということも言えるかもw
もしかしたら、S社のカメラがマウントアダプターのレンズに強いのは、めんどくさいフラットフィールド補正を省く為に、IRフィルタとかセンサーの設計の時点で色ズレを抑えているということなのかもしれませんね。(単なる予測ですので間違っていたらすいません)