Petapixelがここ最近のフルサイズミラーレスカメラの盛り上がりに対して、それでもベストはAPS-Cであるという記事をアップしています。
“Like it or not, much of the conversation around image quality these days revolves around sensor size. ”
Via ‘ Full-Frame vs Everyone Else: Searching for the ‘Ideal’ Image Sensor (https://petapixel.com/2019/08/09/full-frame-vs-everyone-else-searching-for-the-ideal-image-sensor/?fbclid=IwAR12g6SFsvxgG53YAdxtqVp8SygHNshIomNCoxcoSzUvLjM_aMLlme2LA0w)
記事の背景
- 好むと好まざるにかかわらず最近の画質に関する話題の多くがセンサーサイズに関するものである。
- SONYがα7RIVを発表した時画質は中判に匹敵すると言い、マイクロフォーサーズは小型システムでも画像はフルサイズと見分けが付かないということを主張している。
- フルサイズはプロの標準となっているようだが、私はセンサー性能のスイートスポットに収まっているとは思えない。それは35mmフォーマットに対する歴史的なバイアスが働いていると考えている。
- それはカメラメーカーに対しては役に立つバイアスだが、我々写真家については良いこととは言えない。
「理想」の3つの要素
- 「理想」を定義する為に以下の項目を定義する。
- パフォーマンス
- システムサイズ
- コスト
- センサーが小型になるとサイズとコストは向上するがある時点でパフォーマンスのトレードオフが発生する。
- 一方、人々は最高のパフォーマンスを求めてはいるが、誰もが最新の1.5億画素の中判システムを購入するわけでは無い。サイズや価格は非常に大きな負担になる。
- 高画素のセンサーは巨大なRAWファイルが生成され、バッファや画像処理プロセッサの大きな負担となり連写性能や動画性能を低下させる。また完全な焦点を持つレンズの製造が困難になる。
筆者の意見に対する他の編集者のコメント
DPReviewテクニカルエディターRichard Butler氏
- センサーのフォーマットは、サイズ、価格、画質のバランスであることは間違いない。しかし決定的に最高の組み合わせがあるとは思えない。
- 各人が画質とサイズについて独自の閾値を持っている。
PhotonsToPhotos編集者Bill Claff氏
- センサーサイズ(フォーマット)はアプリケーションに依存する。単位ピクセルあたりのパフォーマンスは同一である。
フルサイズがスタンダートになった経緯
メーカー側は歴史的にもフルサイズカメラを販売して来たこともあり、それによってより経済的なメリットをもたらしているということもある。
Richard氏の意見
- カメラブランドは(フィルム時代から)フルサイズレンズに対して多くの投資を行って来たことが、今後もフルサイズを正当化して行くモチベーションとなっている。
- ハイエンドユーザーはレンズを購入するユーザーであり、そのような愛好家に対して次のレンズを購入する際にフルサイズへのアップグレードを促すことである。
Claff氏の意見
- デジタルカメラよりも前の時代は、殆どのカメラは35mm以上で、小さいフォーマットは、トイカメラあるいはブリッジカメラと考えられていた。
- この考えはデジタル時代にも引き継がれ、マイクロフォーサーズやAPS-Cシステムのカメラではプロレベルの仕事用カメラとして納得させないものとなっていた。
- 経済的な理由はさておいて、スマートフォンの台頭によって、全てのカメラは持ち運びに苦労するに値する道具であることを証明する必要に迫られている。
- 出荷台数が減少するに従い、収益を確保する1つの方法は平均単価をアップさせることである。
- 巨大企業であるSONYを含めた全てのメーカーにおいても、限られた資金的なリソースをフルサイズ(又は中判)のR&Dに集中させることが理に叶っている。
- 殆どのカメラメーカーは思っていたよりも小規模であり、少人数のレンズ設計者のみ抱え予算も限られている。
- APS-Cレンズの開発に投資することは、フルサイズレンズの開発への代償を伴うが、中級システムを継続することは、より高価なシステムを販売する役に立つことになる。
- フルサイズレンズをアップグレードパスとして売れること(適切なフォーマットでは無いかもしれないが)がシステム全体のアドバンテージとなる。
理想的なイメージセンサーとは
- 状況に応じたカメラ/レンズ/センサー選びが必要という議論は合理的ではあるが、殆どの場合サイズと重量の関する短所が、大型イメージセンサーの利点を上回ることは無い。
- しかし実際に多くの人には最適なセンサーサイズがありフルサイズでは無いということを確信している。
- サイズとコストのスイートスポットに対するパフォーマンスのスイートスポットが落ち着くセンサーは、マイクロフォーサーズやフルサイズでは無くAPS-C(FUJIFILM Xシリーズ、SONY APS-C Eマウントシステム)である。
- フルサイズカメラで実現した機能は、1.5倍クロップする程度で済むAPS-Cシステムに容易(マイクロフォーサーズよりも簡単に)に実装することが出来る。
- SONY α6400とフルサイズのα7IIIを比較すると、α6400の価格は1100ドル安価であり、重量や約半ポンド以上軽量である。
- 更にリアルタイムトラッキング機能、0.02秒のAF、11コマ/秒の連写(α7IIIは10コマ)、14ビットRAWを実現している。
- フラッグシップのα6500においては4k/
60p記録など(訂正:引用元の記事はα6500が出る以前の予想スペックとなっています)フルサイズカメラにも無い機能も実現している。
- α7IIIに近い価格と重量であるFUJIFILM X-T3は、500ドル程度しか安価では無く、0.25ポンドしか軽量では無いが動画では4K/60p 4:2:0 10ビット内部レコーディングが可能である。
- SONYはHDMI出力でさえそれを実現出来ていない。また、14bit RAWでの11コマ/秒連写、1.25倍クロップによる30コマ/秒電子シャッター、APS-C専用のコンパクトなレンズ設計などもある。
- 私が明日カメラを購入するとすればこのようなAPS-Cのモデルを購入する。
- フルサイズには多くの可能性(浅い被写界深度、色再現性、高感度性能)があるがそれを得るには更なる追加投資が必要となる。
- APS-Cは静止画と動画撮影のバランスを改善しているモデルが存在する。
競争の促進が必要
- 私は殆どの人にはAPS-Cこそがベストバランスであることを信じている。
- スチル撮影者は、それほど(浅い)被写界深度や高感度性能を求めていない。
- その代わりにスピードと軽量のカメラを求めている。
- 動画撮影者は既にSuper35センサーを用いているのでクロップは大きな問題では無い。
- また同等の性能でより小型のマイクロフォーサーズのようなカメラをBカメラとして所有している。
- マイクロフォーサーズが良いことを熱心に主張している人もいる。光学的性能の低下はわずかであり、速度、サイズ、重量、コストなどのメリットがあるという。
- それに私は同意しない。2倍のクロップという代償が発生しながらもAPS-Cシステムと比較してもそれほど大きなコスト節約は無い。
- 高価な中判やフルサイズで胸を張るだけでは無駄使いであり、他の人にも無駄な投資を促すことにもなる。
- 更に悪いことに、フルサイズ以上への投資が促進されることは小型フォーマットの企業のイノベーションを阻害し経済的にも圧迫することに繋がっている。
- マイクロフォーサーズセンサーでの技術ブレークスルーを最後に目にしたのはいつだっただろうか?あるいはビッグ3のAPS-C用の新レンズに興奮したことはあっただろうか?
- 今後もフォーマットに多くの選択肢があることは誰にとっても良いことである。
いかがでしょうか?
この記事はここ最近のフルサイズミラーレスへの盛り上がりが、ユーザーの選択肢を狭める結果になるという警笛を発しているようですね。
各メーカーのミラーレスの動向を見ると、これまで通りの入門→中級→上級のステップアップモデルを実現しようとしているのはCanonですね。
対するNikonは入門機を揃える時期が遅れてしまったようです。
FUJIFILMはこの記事の通りAPS-Cを中核に添えることで一定の評価を得ています。
そしてSONYはフルサイズでは2強よりも先行し、APS-CではFujiに対抗出来るカメラを揃えることでミラーレス最強の座を確保しようとしています。
ここ最近OLYMPUSの先行きに関する憶測が流れていますが、やはり入門〜フラッグシップまでマイクロフォーサーズであるのはビジネスとしては無理があるのかもしれません。
それを打開するには、我々がマイクロフォーサーズを購入する必要があるかもしれません(この記事ではAPS-Cがベストと書かれていますが、、、)。
ただ私もマイクロフォーサーズ好きなのですが、Panasonicの方を購入してしまいました、、、、、orz