カメラメーカーはユーザーが数千ドル損失するJPEGを止めるべき時だ(Tony & Chelesa Nothrup)
著名ユーチューバーであるTony & Chelesa Nothrupのチャンネルで、JPEGを無くしてしまいましょうという興味深い動画がアップされています。
経緯
- JPEGを排除することでフォトグラファーは数千ドルのお金が節約できるようになるだろう。
- 90年代初期の旧式フォーマットであるJPEGを使い続けることは苦痛でしかない。
- 1992年 世界を変える画像フォーマットという触れ込みで発表された。
- 2015年 JPEGの後継と目されるフォーマットが発表された重要な年となった。
- HEIF(High Efficency Image File Format) – JPEGに対し2倍の圧縮率を実現
- HEIC(High Efficiency Image Codec) – iPhoneなど採用されたコンテナの拡張子
- HEVC( High Efficiency Video Coding)
- 2017年 AppleがiOS11でHEICを採用したが、その時点では有用な編集ソフトは存在しなかった。
- 2018年 Adobe Lightroom が対応したことでフォトグラファーは他のフォーマット同様に撮影ワークフローに取り込むことが可能となった。
- 2020年 Canon のフラッグシップカメラ EOS-1Dx Mark IIIでHEICが採用されることになる。
- その結果、2020オリンピックのスポーツフォトグラファーは2倍のバッファーと2倍のストレージを確保するに等しいことになる。
- 編集スタッフへの写真転送時間も半分になり、画質も向上することになるだろう。
HEICの特徴
- JPEGに対して2倍の圧縮率
- 10ビットカラー
- 例えば青空がよりスムースに表現が可能になる。
- マルチフレームライブフォトのように撮影後にベストタイムングのフレームの選択が可能になる。
- デプスマッピング撮影後にiPhoneのように撮影後に背景のボケが可能になる。
- Canonの位相差デュアルピクセルでは深度の記録も可能になるだろう。
HEICを使うことでお金を節約できる
- 一般のフォトグラファーは月に(控えめな画素数)2400万画素で10万ショットあるいはそれ以上を撮影する。
- ストレージ1.2TBとなり20ドルのHDDが必要で(2TB=40ドルとして)月20ドル、これを10年続けると2400ドルもの費用が必要となる。(RAWでは更に2倍)
- GoogleDriveは1TBで10ドル/年であるので、年が経過するに従ってクラウド保管では全体の容量が増えて年間の費用が増加して行く。
- ビデオでは更にファイルサイズが大きくなり、メモリカードも高品質なものが要求されるので256GB2枚準備すると760ドルだが128GB2枚では380ドルである。
時間的なメリット
- カメラ側の性能もバッファが半分で済むとすれば、連写速度が低下するまでの時間が2倍になる。
- カードからPCにコピーする時間も半分になる。
- Wi-FiやLTE転送でも2倍の速度で転送出来る。
- ティーザー撮影も2倍のフレームが撮影できる。
- 将来の新しいテクノロジーを導入するにもメリットがある。
- カメラから直接Wi-Fi、LTE、5G経由でクラウドストレージアップするようなことが実現出来るようになる。
カメラメーカーでHEICの採用が遅れている理由
- カメラメーカーがHEIFの採用が遅いのは主にコストの問題である。
- 処理が複雑で開発費用が新たに発生する。
- JPEGは単純でSDKやAPIが揃っていたので様々なデバイスやOSでもすぐに開発が可能だった。
- CanonがHEIFを採用するにあたって、OSやチップで新たに大量のコーディングを行う必要があった筈である。
- しかしそれを今実現するつことで今後数十年に渡り数十万のユーザーが恩恵を受けることになるだろう。
- 複雑な処理が必要なので強力な画像処理プロセッサーも必要でありコストが増加する。
- 更にHEIFを採用するには特許費用の壁が待ち受けている。
- この特許のホルダーはCanon、GE、DOLBY、SAMSUING、ワーナーブラザーズ等である。
- 特許料はデバイスの種類のよるが、0.8ドル〜2.5ドルになる。
- しかしこれらの費用を加算したとしても先のユーザーの損失額と比較して小さいものだ。
- よって皆さんはカメラメーカーに対してHEICを広く採用するように呼びかけるべきである。
いち早くHEICに対応したCanonはナンバーワンカメラメーカーとして流石ですね。(特許を保有しているからかもしれませんが)
リオオリンピック会場では、イーサーネットやWi-Fi経由で撮影データーがすぐにサーバーにアップされる環境が構築されJPEGで10コマ/秒アップされてたようですが、CanonのカメラではHEICでファイルサイズが半分になることは単純計算で20コマ/秒になるということで画期的なことになる筈です。
個人的にはプロフォトグラファーのように月間10万ショットも撮影しないのですが、最近のカメラの画素数がアップしていることや、動画系を撮り溜めてしまうとでやはりストレージがいつも厳しいという感じです。
それよりも、JPEGが8bitということで流石にRAWで保存したくなります。(Webで見る分には判らないという意見もあると思いますが)
HEICであれば10bitで保存出来るのでRAWも必要無いかもしれませんね。
Tonyさんがおっしゃるように他のメーカーにも是非採用して欲しいと思いました。
追記
- 現状iPhoneにおいては10bitのHIECが出力されているということですが、フォーマット自体は16bitも可能ということです。
- PNGも16bit可能ですが、実際はPNG-24など8bitカラーが未だ主流のようです。またPNGはEXIFをサポートしていないということでカメラ側のファイルフォーマットとしては不向きですね。
- HEIFは可逆圧縮も不可逆圧縮の両方がサポートされてります。
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